生活環境の大切さ

今日はスクールコンペティション(公立学校の大会)最終日。去年にいい成績を残した学校3校によって争われ、今年もいい演技、いい笑顔が見られました。学校体育としての体操がこの一年でここまで大きくなるとはまさか二年前にはおもってもいませんでしたが、本当、現地のインストラクター、体操協会、協力隊員、皆さんの精力的な活動のおかげです。すごいすごい。
で、大会が終わって今日は昼過ぎから幼稚園でクラス。車で向かっているとフィットネスの先生から電話が。
「Mr.Nishida! 前話してた高校生がさっきお前の事務所に入って何か盗ろうとしてた!今捕まえたんだけど、帰ってこれるか?」
実は先週の月曜日、私が外出していた間に保護者から集めた先週末の大会のエントリー代が事務所からなくなってたんです。金額にすればたいした事はありませんが、鍵を閉めていたはずの事務所からお金がなくなっている、というのは大問題です。そこで、その日だいたいジムにいたクリス(フィットネスの先生)に誰か怪しい人みなかったか?と聞いてみると、「高校生の男の子が長い間二階にいた」との事。詳しい話を聞くと、お金がなくなった時間帯、彼以外に事務所に入れた人はいなさそう。とはいえ、彼はその時もうジムを出ており、もし彼が犯人だとするとまあまたジムに帰ってくることはないであろうこと、さらにお金を盗んだ瞬間を見たわけではなく、お金を事務所においておいた自分の責任でもあります。「お前だろう!」と決め付けて違ったら最低です。ここは自らの非を認め、今後戸締りをしっかりする事と、現金を事務所に置かないように心がけるという事で、今回はほうっておきました。
すると数日前、怪しまれている高校生がまたジムに来ました。
もし万が一彼が犯人で、次の機会を探しているんであれば問題です。とりあえず呼び出して、「こないだジムに来たって聞いたけど、何のようだった?」と聞くと、「クラスに参加したくて来た」とのこと。しかし、彼には一週間前にすでにオープンジムの時間と曜日は伝えていました。忘れたのかどうなのか・・・とりあえず、「先週お金が事務所からなくなってるから、自分のいない時間帯にジムに入るのは禁止にしてる。次くるときはクラスの曜日、時間ぴったりに来るように」と話をし、帰らせました。
そして本日午前中、彼が事務所の内部で物色しているところをクリスが発見したのです。はぁ・・・。

とにかくクラスをキャンセルしてジムに戻り、保護者を交えて話をして、それから警察を呼ぶかどうかという話に。話を聞くと父親は死んでおり、母親は海外で働いているらしい。保護者として電話に出たのは彼と一緒に住んでいるというおばさん。
「実はこれこれこういう経緯があって、彼がお金を盗んだんじゃないかと疑われる状況なんです。話を聞きたいので、ジムにきてくれませんか?」
「彼が何か盗ったのか?いくらとった??」
「いや、まだ彼が盗ったのかどうかは定かではなくて、彼もとってないっていってるんです。なくなったお金は$5000から$6000くらいです。」
「分かった。赤ちゃんがそばにいるから、面倒見てくれる人を探してそれから向かう」
というやりとりがなされ、待つこと2時間。連絡がまったくないので電話をするが、返答無し。んーーーー・・・。彼に違うおばさんに電話をかけてくれと頼まれ、違うおばさんに電話。すると
「彼女はお金を返す為に彼女は今ボーイフレンドのところへいってる。なんとか警察呼ばずに済ますことはできないの?」
ときた。二人ともまるで彼がやったことを100%信じてるかの言いよう。うーーーん・・・。とにかく、それからまた2時間待ちましたが連絡もなく、こちらから連絡しても返答無し。どうやらふたりのおばさんはこない模様。ため息が出る。
しょうがないので、彼に質問。
「本当にやってないんやな?」
「俺はやってない」
「なら、君の潔白を証明する為にも、警察呼んで指紋とってもらうけど、それでいいか?もし万が一うそをついてるなら、今認めたら警察呼ばないことも考えるよ。もし、机かキャッシュボックスから指紋出てきたら、逮捕やで?」
「それでもいい」
ということで、警察を呼ぶことになりました。15分後、二人の警察官がジムに到着。先週からの状況、今日の状況、色々話をする事10分ほど。ひとりの警官がちょっと考え込んだような顔でしばらく黙っています。
「なあ、こないだの大学での盗難事件覚えてるか?10万円と、PCやらなんやらなくなった事件。・・・あの時の犯人、この子だよ。」
どうやら彼、以前にも盗難で警察にお世話になっていた模様。結局その一言で、有無を言わせず警官に連れて行かれる彼。何もできず、なんとも歯がゆい私。「悪い事をすると、自分に帰ってくる」と彼と話する中で何度も声を大にしていいましたが、それが少しでも彼に届いている事を願いたい。きっと彼が悪いわけではなく、育った環境のせいなんだと思う。ジャマイカ、特にゲットーでは複雑な家庭環境に生きる子供は多いです。親・友人・隣人がヤクザだとか、身の回りで起きる強盗事件・ガンショット・殺人事件とか、そういうネガティブな環境が健全な子供の成長を妨げる一因になってるのは間違いないよなぁ・・・。ジャマイカのゲットーに住む子供たちには健全な時間を過ごす時間がもっと必要です。今日の彼はまだ15歳、変わるなら今だぞーーー

 この記事へのコメント

  1. あずま より:

    ショックすぎる話ですね(T_T)
    すごくいい国なのに、なんて残念な話なんだろう。
    にしても金の管理はむずかしいですね。
    事務においてあって空き巣。
    持ってたら強盗。
    にしてもクリスはかなりナイスプレイ☆
    セキュリティーで雇ったら西田事務は安泰ですよ!

  2. kumicho より:

    >あずま
    いい人材、できる人たちが住みよい環境を求めて海外に逃げていく中、残された出来ない側の人たちに何かしてあげたいもんです。スポーツ・音楽・その他もろもろ、やり方によっては絶対青少年育成活動にすっごい貢献できるはずなんだよ。なんとかそのシステム作り上げてやる!

  3. ひでし より:

    そう環境って恐ろしいよね。
    大人になってから、
    ガキの頃の自分の環境と
    周りの環境の違いにも驚くし、
    逆にその頃の自分では普通の事でも、
    今、周りにいる人と話してみたら、
    実はその環境が全っ然普通じゃないって事もあり。。
    そうなると善悪の判断が、
    根本からずれてきちゃうのよね。
    一般的には悪い事したからポリスに連れてかれる。
    だけど、
    ポリス=悪い奴
    そのポリスに捕まる俺は、
    単に運が悪い奴、くらいに。
    夢を見させれる環境作れたら、幸せよね。
    まぁ今は、自分の夢で手一杯だけど。

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